不確かな状況に生きる中で、
表現アートを用い、トラウマに対処し、回復力を高め、適合力を養う

日本では、アートを治療に用いるという試みは、まだまだ発展途上であり、
リハビリやレクリエーションの一つとして導入される、という段階で
そのエビデンスも確立しておらず、リラックス効果という程度にしか認識されていません。

トラウマそのものに対する有効な治療薬はありませんので、心理療法が用いられていますが、
日本で行われている主な治療法は、トラウマとなった場面をあえてイメージしてその恐怖を乗り越えていくような方法で、クライアントの負担も大きく、時間もかかるものです。

一方、海外では多くの臨床事例もあり、虐待や犯罪の被害者、9.11のようなテロや災害による被害者、戦場から戻ってきた兵士など、PTSDによる様々な症状を持つ方達に対して、アートを用いた治療が研究され、実践されてきました。

近年では、体へのアプローチを用いて、無意識的なところに働きかけていくる治療法などが注目されつつあり、アートや音楽を用いた療法もその一つとして、欧米諸国では様々な研究事例とともに、その有用性が認められています。

ミッチェル・コザック博士によると、
トラウマは脅威に対する過活性の生物学的反応であり、負荷がかかりすぎている神経系統の再編成によって、トラウマからの治癒につながる可能性があるということです。
その神経系の再編成にアートや音楽が役立つことです。

さらに、対人神経生物学的な見地から　人とのつながりは欠かすことのできない要素であり、コミュニティーでの取り組みなどの重要性、そしてアートを介在して行われている事例もたくさんお持ちです。



そこで、今回、ミッチェル・コザック博士にお願いして、

漠然と私たちが捉えているトラウマに関する認識を
そもそも、トラウマとはどういったものか？
私たちの体に何が起こっているのか？
なぜトラウマが引き起こされるのか？
といったところから解説していただき、

海外でのアートを用いたトラウマに対するアプローチ、
コミュニティーにおけるアートを用いた試み
などの事例などをお伝えいただくとともに、
実際に、
ミッチェル博士によるアートワークを体験していただきます。